永住権国別年間枠達成

2019年8月のVisa Bulletin(移民ビザ申請の待時間表)が発表されました。移民ビザは国によって年間申請枠が設けられています。申請者数が国別の年間割当発行枠を超えなければ、すぐに永住権を申請することができますが、国別の年間割当発行枠以上の申請がある場合は、その国の永住権申請には待ち時間が設けられます。移民局の申請年度は毎年10月に始まるので、9月の年度末が近づくにつれ、その年の年間発行枠の残りが少なくなってきます。今年は7月末でどの国も申請者数が国別の年間割当発行枠を超えたために、8月にはどの国も永住権申請に待ち時間ができました。

国務省のウエブサイト のVisa Bulletinには、毎月永住権優先枠のPriority Dateが発表されます。永住権申請者数が国別の年間割当発行枠を超えなければ、永住権の申請に待ち時間がないために、Priority DateはCurrentとなり、“C”と表示されます。国別の年間割当発行枠以上の申請がある場合は、特定のPriority Dateが掲示されます。Priority Dateとは自分のLabor Certificationの申請受領日、或いは永住権のスポンサー申請(I-130やI-140)の受領日を指します。移民局が発表したPriority Dateが自分のPriority Dateと同じ或は自分のPriority Dateを過ぎていれば、永住権申請の最終過程である永住権への滞在資格変更申請(Form I-485)を提出することができます。

雇用主スポンサーによる永住権の申請には5つの申請枠があります。労働局のLabor Certification 過程が免除される第1優先枠に関しては、インドのPriority Dateは01/01/2015(ほぼ4年半の待時間)と変更はないものの、その他の国は8月には2年程後退してPriority Dateは07/01/2016(ほぼ3年待時間)と表示されています。修士業や博士号を必要とする職種、或いは高度な技能や知識を必要とする職種が該当する第2優先枠では、7月時点では待ち時間があったのはインドと中国だけでしたが、8月からはその他の国もPriority Dateが01/01/2017と表示されており、永住権申請までほぼ2.5年の待ち時間ができています。その他の職種用の第3優先枠も7月時点では待ち時間があったのはインドと中国だけでしたが、8月からはその他の国もPriority Dateが07/01/2016とでており、永住権申請までほぼ3年の待ち時間ができています。宗教関係者用の第4優先枠は、メキシコとエルサルバドル・グアテマラ・ホンドゥラス(Priority Dateはいずれも 07/01/2016)以外の国には依然として待ち時間はありません。投資による永住権申請用の第5優先枠は、インド、中国、ベトナム(Priority Dateはいずれも 10/15/2014)以外の国は、依然として待ち時間はありません。8月のVisa Bulletinには第1、2、3優先枠はすべての国にPriority Dateが表示されているので、雇用主スポンサーによるI-140が承認されても、8月からは自分のPriority Dateの順番がまわってくるまで永住権へのステータス変更申請(I-485)を提出できなくなります。しかし、10月には新年度の新たな国別年間枠が発表されるので、オンラインで自分のPriority Dateの順番が回ってきたのを確認したら、速やかに永住権の申請を提出できるように準備をしたほうがよいでしょう。

雇用主スポンサーによる永住権申請の待ち時間が後退している反面、家族スポンサーによる永住権申請枠はさほど大きな違いは見られません。ただ、永住権保持者スポンサーによる配偶者と未成年の子供の永住権の申請枠(F2A)はどの国籍保持者も今年の7月から待ち時間がなくなっています。そのため、アメリカ国内で有効な滞在資格を持っている人であれば、現時点では永住権保持者によるスポンサー申請(I-130)と本人による永住権の申請(I-485)が同時に申請できるようになりました。外国人配偶者が国外にいる人の場合は、永住権保持者によるスポンサー申請(I-130)が移民局に承認されれば、すぐに自国の米国大使館や米国領事館で移民申請を行うことができます。家族ベースの永住権の申請も毎月Priority Dateが更新されているので、オンラインで自分のPriority Dateの順番が回ってきたのを確認したら、速やかに永住権の申請を提出できるように準備をしたほうがよいでしょう。

© 2018-2019 Masae Y. Okura

大蔵昌枝

大蔵昌枝

テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所、パートナー。ジョージア州弁護士。福岡県出身。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。サウス・カロライナ大学ロースクール・ビジネススクール卒業、Juris Doctor(法学博士)/MBA学位授与。米国公認会計士試験合格。ジョージア州弁護士資格取得。渡米前は、日本にて製造業、証券業界、金融業界で勤務。アメリカで大学院在学中は、国際留学生オフィスにて留学生のビザや就労に関する指導を行う。その他にも、大手保険会社で医療保険監査、法律事務所で日系企業の独占禁止法訴訟文献のドキュメント・レビューに従事。卒業後、大手法律事務所にて、南東部へ進出する日系企業の移民法・雇用法相談の他にも 会社設立やその他ビジネス全般に及ぶ幅広い法律相談サービスを提供。また、各種セミナー・講義や執筆活動も積極的に行う。日本語、英語、中国語の3ヶ国語に精通。カナダ・オンタリオ州在住歴。著書に「アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制の発展と意義」がある。

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