新大統領令 – 国益例外“National Interest Waiver”

トランプ大統領は2020年6月22日に特定非移民就労ビザの入国制限に関する大統領令を発表しましたが、8月12日には国益例外“National Interest Waiver”に関する追加ガイダンスを発表しました。これによると、(1)新型コロナウイルスの医療研究者やヘルスケア従事者、国益となる医療分野研究者、(2)政府関連機関の要請による重要な外交政策目的や条約・契約上の義務遂行目的のための渡米、また(3)既に就労ビザを取得して米国で勤務している者が、同じビザで同じ雇用主の下で同様の仕事を継続するために米国に戻る場合は、国益例外の対象となります。また、その他の国益例外対象の中から、H1BとL1ビザに関する条件について下記に説明します。

H-1B】 米国の経済回復推進に必要な技術専門家、上級管理職、その他職務従事者は、次の条件の最低2つを満たせば、国益例外の対象となります。

  • 雇用主がH1B社員の労働を引続き必要としていること。労働条件申請書(LCA)が2020年7月以前に承認された場合、このニーズがあることを証明しなければなりません。ただし、H1B社員が現在国外から職務を遂行している場合、或は国外からの職務遂行が可能な場合は、この国益例外の対象とはなりません。
  • 重要なインフラ需要を満たす企業におけるH1Bポジションや職務が雇用主に対し重要でユニークな貢献をする。重要なインフラには、化学、通信、ダム、防衛産業基盤、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食品・農業、政府施設、ヘルスケアおよび公衆衛生、情報技術、原子炉、輸送、水システムなどが含まれます。さらに、申請者は次のいずれかの条件を備えていなければなりません。(a)社内でシニアレベルのポジションに就いているか、企業管理と事業の成功にとってユニーク且つ重要な職務を遂行する、或は(b)申請者の職務内容と専門知識・技能が、雇用主にとって重要且つユニークな貢献をすることを示している。
  • H-1B申請者に支払われる賃金率が、平均賃金を最低15%以上回っている。
  • H-1B申請者の学歴、研修、関連職経験が、その専門職に関連する専門知識を有していることを示している 。例えば、博士号や専門学位取得者、或は長年の関連経験を有する者は、雇用主にとって極めて重要な職務を遂行する可能性が高いとみなされます。
  • ビザが拒否されたら、米国雇用主は財政的困難に陥る。例えば、財政的または契約上の義務を果たせない、事業を継続できない、または雇用主の事業をCOVID以前の水準に戻すことができない。

【L-1A】 重要なインフラ需要を満たす企業における重要な職務を遂行するシニアレベルの役員や管理者の渡米。重要インフラには、化学、通信、ダム、防衛産業基盤、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食品・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水システムなどが含まれます。L-1Aビザ申請者は、次の項目のうち2つを満たせば、国益例外の対象となります。

  • シニアレベルの役員か管理職である。
  • 米国外の関連企業での長年の経験にから企業にとって不可欠な高度な専門知識・技術を保有しており、新規採用をした場合、かなりのトレーニングが必要となるため、雇用者は財政的負担を被ることになる。
  • 重要インフラ需要を満たす企業の重要な業務を遂行すること。

米国に新規事業を設立する場合は、上記項目のうち2つを満たし、且つ、直接或は間接的に5人以上の米国労働者を雇用する必要があります。

【L-1B】 技術的専門家またはスペシャリストとして重要インフラ需要を満たすために渡米する場合、次の3つの項目全てを満たせば国益例外の対象となります。

  • ビザ申請者の職務及び専門知識が、雇用主にとって重要かつユニークな貢献をすることを示していること。
  • ビザ申請者の専門知識が、重要インフラ需要に直結していること。
  • 米国外の関連企業での長年の経験にから企業にとって不可欠な高度な専門知識・技術を保有しており、新規採用をした場合、かなりのトレーニングが必要となるため、雇用者は財政的負担を被ることになること。

© 2018-2020 Masae Y. Okura

大蔵昌枝

大蔵昌枝

テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所、パートナー。ジョージア州弁護士。福岡県出身。東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。サウス・カロライナ大学ロースクール・ビジネススクール卒業、Juris Doctor(法学博士)/MBA学位授与。米国公認会計士試験合格。ジョージア州弁護士資格取得。渡米前は、日本にて製造業、証券業界、金融業界で勤務。アメリカで大学院在学中は、国際留学生オフィスにて留学生のビザや就労に関する指導を行う。その他にも、大手保険会社で医療保険監査、法律事務所で日系企業の独占禁止法訴訟文献のドキュメント・レビューに従事。卒業後、大手法律事務所にて、南東部へ進出する日系企業の移民法・雇用法相談の他にも 会社設立やその他ビジネス全般に及ぶ幅広い法律相談サービスを提供。また、各種セミナー・講義や執筆活動も積極的に行う。日本語、英語、中国語の3ヶ国語に精通。カナダ・オンタリオ州在住歴。著書に「アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制の発展と意義」、「研究者・留学生のためのアメリカビザ取得完全マニュアル」がある。

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